主体としての人工知能から道具としての人工知能へ。第3次人工知能ブームの到来から10年が経つ今、人間と人工知能の関係を再考する。
深層学習を用いた人工知能の急速な進展によって、2010年頃に第3次人工知能ブームが到来した。しかし、生物のように多様な課題を行うことができる汎用知能を作るという究極目標を実現する見通しはまだ得られていない。本書では哲学の知見を踏まえ、人工知能を人間の能力を拡張する道具と捉えて建設的な関係性を構築する道を探る。
【目次】
はじめに[鈴木貴之]
I 道具としての人工知能――理論的考察
第1章 人工知能に関する2つの見方――主体としての人工知能と道具としての人工知能[鈴木貴之]
第2章 AI対IA――対立の構図に隠された真の主題[柴田崇]
第3章 人工知能と現象の理解[今泉允聡]
第4章 深層学習後の科学のあり方を考える[大塚淳]
II 人工知能を活用する――道具としての可能性
第5章 医療AIの倫理――倫理的な判断をAIが担う、未来の患者・家族・医療従事者関係[中澤栄輔]
第6章 ナッジ&ブーストエージェントによる意思決定支援[小野哲雄]
第7章 創造性という知的徳を人工知能から学ぶ[植原亮]
第8章 人工知能と人間らしさ[立花幸司]
III 設計思想――よりよい道具を設計するために
第9章 設計の観点から見た人工知能[上杉繁]
第10章 人工物の倫理性と人工知能[堀浩一・関口海良]